カラオケに行って採点機能を使ってみたとき「全国平均が80点台後半や90点台で、自分の点数より遥かに高い」と驚いた経験はありませんか。せっかく楽しく歌ったのに、画面に表示される平均点があまりに高いと、自分の歌唱力に自信をなくしてしまうこともあるかもしれません。
実は、カラオケの全国平均が高すぎるのには明確な理由があります。それは決してあなたの歌が下手ということではなく、採点システムの特性や利用者の傾向が大きく関係しているのです。この記事では、ボイストレーニングの視点から、平均点が高い理由とスコアを伸ばすための具体的なポイントを解説します。
平均点という数字に惑わされず、カラオケをより楽しむための知識を身につけましょう。ボイトレの基礎知識を応用すれば、機械に評価されるコツも自然と掴めるようになります。まずは、なぜあんなにも平均点が高く設定されているように見えるのか、その裏側を探っていきましょう。
カラオケの全国平均が高すぎると感じる3つの主な理由

カラオケの採点画面で「全国平均:88点」といった数字を目にすると、ハードルの高さを感じるものです。普通に歌っているつもりでも平均に届かないと、不思議に思いますよね。ここでは、なぜ多くの人が「全国平均が高すぎる」と感じるのか、その構造的な理由を紐解いていきます。
「採点ガチ勢」によるスコアの底上げ
カラオケの全国平均を押し上げている最大の要因は、通称「採点ガチ勢」と呼ばれるユーザー層の存在です。彼らは高得点を出すことを目的として、同じ曲を何度も繰り返し練習し、100点や90点台後半を安定して出せるまで歌い込みます。
採点機能を利用する人の多くは、自分の歌唱力を確認したい、あるいは高得点を出して楽しみたいという意欲を持っています。そのため、全く練習していない人よりも、歌に自信がある人や練習熱心な人が採点機能を利用する傾向にあるため、自然と平均値が上昇してしまうのです。
特に人気のある定番曲やアニソン、ボカロ曲などは、特定のファンが極限まで精度を高めて歌っていることが多いため、平均点が90点近くまで跳ね上がることが珍しくありません。初心者や久しぶりに歌う人が、その高い壁に圧倒されてしまうのはある意味で当然のことといえます。
自信のある曲しか採点に入れない心理的バイアス
私たちは無意識のうちに、自分が「ある程度歌える」と思っている曲で採点を入れる傾向があります。全く知らない曲や、音程が取れないことが分かっている曲で、あえて恥をかこうとする人は少ないはずです。この「選曲の偏り」が平均点を高くしています。
もし全ての人が、世の中のあらゆる曲をランダムに採点していたら、平均点はもっと低くなるでしょう。しかし実際には、「この曲なら高得点が出るかもしれない」という期待を持って採点を開始するため、必然的に各楽曲の平均スコアは高めに出ることになります。
また、歌い始めてみて「今回は調子が悪いな」と感じたときに、途中で演奏を停止したり採点をキャンセルしたりする場合もあります。最後まで歌い切り、データとして集計されるのは「ある程度のクオリティで完唱できたもの」だけであることも、平均値を押し上げる要因の一つです。
機種による採点アルゴリズムの違い
カラオケの機種には主に「DAM(ダム)」と「JOYSOUND(ジョイサウンド)」の2種類がありますが、それぞれ採点の基準が異なります。一般的にJOYSOUNDの方が点数が出やすく、DAMの方が厳しめに設定されていると言われています。
JOYSOUNDの「分析採点」などは、音程が多少ずれていても加点要素が多ければ高得点になりやすく、平均点が90点を超えることも珍しくありません。一方で、DAMの「精密採点」シリーズは音程の正確さを非常に厳格に判定するため、初心者には厳しく感じられることが多いでしょう。
自分が歌っている機種の特性を知らないと、表示される平均点だけを見て一喜一憂してしまいます。
機種ごとの特徴を理解しておくことが大切です。
DAM:音程に厳しく、プロレベルの技術を求める傾向がある。
JOYSOUND:歌の盛り上がりやテクニックを評価しやすく、点数が出やすい。
機種による点数の出やすさの差が、ユーザーに「平均点が高すぎる」という印象を植え付けている面も否定できません。
採点マシンが高得点をつける「歌の上手さ」の基準

カラオケの採点機能で高得点を出すためには、機械が何を「上手い」と判断しているのかを知る必要があります。人間の耳で聴いて心地よい歌と、採点マシンが高い数字をつける歌には、実は微妙なズレがあるのです。ここでは機械が重視するポイントを整理します。
音程の正確性とガイドメロディの遵守
カラオケ採点で最も配分が大きいのが「音程」です。採点マシンは、あらかじめ登録されている「ガイドメロディ」のデータと、マイクから入力された音声をリアルタイムで比較しています。1音1音の高さがどれだけデータと一致しているかが最重要視されます。
ここで注意したいのは、歌手本人がライブなどで披露するアレンジ(フェイクやタメ)は、採点上は「音程ミス」として処理されてしまう点です。「本人のように歌う」ことよりも「画面に表示される音程バー通りに歌う」ことが、機械に評価される近道となります。
ボイトレの視点から見ると、これは「正確なピッチコントロール」を鍛える練習になります。自分の耳で聴いている音と、実際に出ている音のズレを認識する力が必要です。ガイドメロディをよく聞き込み、バーに自分の声をぴったり重ねる感覚を養いましょう。
リズムの安定感と「走り・タメ」の判定
音程の次に重要なのが「リズム」です。曲のテンポに対して、声が遅れていないか(タメ)、逆に早すぎないか(走り)を常に判定しています。特に日本人は「走り」気味になる傾向が多く、焦って歌うとリズム評価がガクッと下がります。
リズム評価を高めるためには、伴奏のドラム音やベース音をしっかり聴くことが不可欠です。歌い出しのタイミングはもちろん、フレーズ終わりの切り際までリズムを意識しましょう。機械はコンマ数秒のズレも感知するため、体全体でリズムを刻みながら歌うのが効果的です。
リズムが安定すると、歌全体に余裕が生まれます。採点機能におけるリズム項目は、一定の速度を保つ「メトロノームのような正確さ」を求めていることを忘れないでください。感情を込めてリズムを揺らすのは、採点競技においては不利に働く場合が多いのです。
表現力項目に含まれる加点テクニック
多くの採点機種には「表現力」という項目があります。ここには「しゃくり」「こぶし」「フォール」「ビブラート」といった歌唱テクニックが含まれます。これらの技法を適切に使うことで、ボーナスポイントのような加点が得られます。
「しゃくり」とは、本来の音程より少し低い音から入って滑らかに本来の音に繋げる技法です。「こぶし」は一瞬だけ音を上下させる演歌のような装飾音です。これらは意識して入れることで回数がカウントされ、表現力のスコアが伸びる仕組みになっています。
ただし、加点を目的にこれらのテクニックを乱用すると、聴いている人にとっては不自然な歌声になってしまうこともあります。あくまで歌のニュアンスを深めるための味付けとして使いつつ、機械が認識しやすいようにハッキリと発声するのがコツです。
プロの視点!「歌が上手い」と「採点が高い」の違い

ボイストレーニングに通っている人や、歌のプロを目指している人の中には「採点結果が低くてショック」という方が少なくありません。しかし、安心してください。人間の耳を感動させる「上手い歌」と、採点マシンの「高得点」は必ずしも一致しません。
感情表現が「音程ミス」とみなされるジレンマ
プロの歌手や歌が上手い人は、歌詞の意味を伝えるために、あえて音程を少しずらしたり、ブレス(息)を混ぜたりして感情を表現します。例えば、切なさを表現するために音をフラット(少し低めに)気味に歌う手法がありますが、機械はこれを「音程が悪い」と切り捨ててしまいます。
また、ウィスパーボイス(吐息混じりの声)は、マイクが音を正確に拾いきれず、音程が不安定だと判定される原因になります。機械は「声の成分がはっきりした、クリアな直線的な音」を好むため、表現力が豊かな人ほど点数が伸び悩むという現象が起こるのです。
ボイトレでは「表現の引き出し」を増やすことを大切にしますが、カラオケ採点においては、その引き出しを一度閉じて、機械が好む「教科書通りの正解」を出す必要があります。点数が低いからといって、あなたの表現力が否定されたわけではありません。
声量とダイナミクスの捉え方の差
人間が聴く場合、適度な声の強弱(ダイナミクス)は感動を呼ぶ要素です。サビで力強く歌い、Aメロで囁くように歌うスタイルは非常に音楽的です。しかし、カラオケの機種によっては、この強弱が激しすぎると「声が小さすぎて音程が取れない」と判定されることがあります。
特にマイクの設定や持ち方によって、声量の変化が機械に正しく伝わらないケースが多いです。高得点を狙う人は、マイクと口の距離を一定に保ち、常に安定した音量でマイクに音を届ける「マイクパフォーマンス」を徹底しています。
ビブラートの質と判定の関係
ビブラートには、細かく震えるものからゆったりしたものまで種類がありますが、カラオケ採点で高評価を得やすいのは「周期と振幅が一定の綺麗なビブラート」です。喉の疲れや緊張で声が震えてしまった場合も、機械が「ビブラート」として誤認し、加点されることがあります。
逆に、プロが使うような繊細で速いビブラートは、機械が認識できずに「音程の揺れ(不安定)」とみなされるリスクがあります。採点で評価されるためには、わざとらしく、ゆっくりと深くかけるビブラートの方が有利になるという逆転現象が起こります。
このように、採点マシンは一定のルールに基づいた「型」を判定しているに過ぎません。芸術としての歌唱と、スコアを競うゲームとしての歌唱は、別物として切り離して考えるのが、精神衛生上もボイトレの進歩の上でも賢明です。
全国平均を超えるために必要なボイトレの基礎知識

それでも「やっぱり平均点以上は取りたい!」と思うのが人情ですよね。平均点を超えるためには、付け焼き刃のテクニックではなく、土台となる基礎的な発声能力を向上させることが一番の近道です。ここではスコアに直結するボイトレのポイントを紹介します。
腹式呼吸による安定した息の供給
音程がフラフラしたり、フレーズの最後で点数が落ちたりする原因の多くは、呼吸の不安定さにあります。腹式呼吸をマスターして、一定の圧力を保った息を喉に送り続けることができれば、音程の安定感(安定性)の項目が劇的に改善します。
肩や胸に力が入る「胸式呼吸」では、息がすぐに切れてしまい、声が震えやすくなります。お腹の底から支える意識を持つことで、長いロングトーンも揺らさずに真っ直ぐ出すことができるようになります。これが採点における「ロングトーン&安定性」の加点に繋がります。
練習方法としては、まず「スー」と息を一定の細さで長く吐き出す練習から始めましょう。20秒〜30秒間、全くブレずに吐き続けられるようになれば、歌声の安定感も見違えるほど変わります。土台がしっかりすれば、高い平均点も怖くありません。
共鳴腔を意識した「通る声」作り
マイクに自分の声を正確に認識させるには、声の「芯」を作ることが重要です。喉を締め付けて出す「喉声」ではなく、鼻腔や口腔といった「共鳴腔(きょうめいくう)」に声を響かせることで、機械が拾いやすい明瞭な倍音を含んだ声になります。
鼻の奥を響かせる感覚(鼻腔共鳴)を掴むと、小さな声量でもマイクにしっかりと音が届きます。採点マシンは、声の大きさそのものよりも「音程成分がはっきりしているか」を見ています。響きのある声は、ノイズが少なく音程が特定しやすいため、高評価に結びつきやすいのです。
「ハミング(鼻歌)」で鼻の付け根が震えるのを確認しながら、そのまま発声に繋げていく練習が効果的です。通る声が出せるようになると、マイクの感度設定に左右されにくくなり、どんな環境のカラオケボックスでも安定した点数が出せるようになります。
滑舌の改善と子音の明瞭化
意外と見落としがちなのが「滑舌(かつぜつ)」です。歌詞をハッキリと発音できないと、フレーズの区切りが機械に正しく伝わらず、リズム評価や表現力評価に悪影響を及ぼします。特に言葉の頭にある「子音」を意識して発音しましょう。
例えば「サ行」や「タ行」などを鋭く発音することで、リズムのタイミングを機械にハッキリと伝えることができます。口を横に開くだけでなく、縦にもしっかり動かすことで、1音1音が独立して聞こえるようになり、音程バーへの反応も良くなります。
| トレーニング項目 | 採点への影響 | 具体的なメリット |
|---|---|---|
| 腹式呼吸 | 安定性・ロングトーン | 声が震えなくなり、音程が安定する。 |
| 共鳴(響き) | 音程正確率 | 機械が音程を判別しやすくなる。 |
| 滑舌・子音 | リズム・表現力 | 言葉の切り替わりが明確になる。 |
今日から実践!平均点以上を叩き出す具体的なステップ

理論を学んだ後は、実際のカラオケルームでできる実践的なテクニックを試してみましょう。少しの意識変革と設定の工夫だけで、点数は数点から10点近く変わることもあります。誰でもすぐに取り組める具体的なステップを解説します。
自分の音域に合った「キー設定」の徹底
全国平均が高すぎる曲に挑む際、原曲キーにこだわりすぎていませんか。音程が1箇所でも届かないと、そこでの失点が大きく響きます。「無理なく一番高い音が出せるキー」に調整することは、恥ずかしいことではなく、賢い戦略です。
まずは、その曲の最高音が自分の地声(または得意な裏声)で余裕を持って出せる範囲までキーを下げましょう。男性が女性の曲を歌う、あるいはその逆の場合も、思い切って±4〜5程度変更してみてください。音が外れるストレスがなくなるだけで、点数は一気に跳ね上がります。
ボイトレのレッスンでも、まずは出しやすい音域から広げていくのが基本です。カラオケのキー変更機能を活用して、自分が最も心地よく、かつ正確に歌える「マイベストキー」を見つけることが、平均点超えの第一歩となります。
マイクの持ち方とマイクボリュームの最適化
物理的なセッティングもスコアを左右します。マイクのヘッド(網目の部分)を握ってしまうと、音がこもってしまい、機械が正確なピッチを抽出できなくなります。マイクの真ん中あたりを持ち、口に対して垂直に当てるように構えましょう。
また、マイクボリュームを上げすぎると、スピーカーからの音がマイクに回ってしまい(ハウリング一歩手前の状態)、採点にノイズが混じります。逆に小さすぎると、あなたの声が伴奏に埋もれてしまいます。自分の声がスピーカーからハッキリ、かつクリアに聞こえる音量を見極めてください。
マイク設定のコツ
・マイクヘッドを隠さない(網目部分を持たない)。
・口とマイクの距離は指3本分くらいで固定する。
・エコーは少し控えめ(半分以下)に設定する(残響が音程判定を邪魔するため)。
「ガイドメロディ」を最大にして聴き込む
採点モードにすると、画面上に音程バーが出ますが、それと同時に流れる「ガイドメロディ」をよく聴くようにしましょう。設定でガイドメロディの音量を大きくすると、自分が今歌うべき正確な音が耳に飛び込んできます。
多くの人は伴奏(オケ)に合わせて歌おうとしますが、伴奏は意外と自由度が高く、音程の基準としては曖昧な場合があります。ガイドメロディは、まさに「採点の正解音」そのものです。この音に自分の声をシンクロさせるイメージで歌うと、音程正確率が格段に向上します。
特に歌い出しや、間奏明けの最初の1音は外しやすいポイントです。ガイドメロディをナビゲーターにして、機械が求めている「正解」をなぞる感覚を楽しんでみてください。これを繰り返すうちに、音感が磨かれ、自然と全国平均を上回る力がついていきます。
「カラオケ全国平均が高すぎ」と悩む方へ:点数アップと歌唱力を両立する方法
カラオケの全国平均が高すぎると感じるのは、採点機能に熱心なユーザーが多く、機械特有のルールに最適化されたスコアが集計されているからです。点数が平均に届かないからといって、あなたの歌に魅力がないわけではありません。採点はあくまで「音程の正確さ」や「一定のパターン」を測るゲームのようなものだと捉えましょう。
一方で、採点スコアを意識した練習は、ピッチの安定感やリズム感を養うための素晴らしいトレーニングになります。腹式呼吸や共鳴といったボイトレの基礎を固めれば、機械に評価される「安定した声」と、人間に感動を与える「豊かな表現力」の両方を手に入れることができます。
まずはキー設定やマイクの持ち方といった小さな工夫から始めてみてください。平均点という数字を、自分を追い込むための壁にするのではなく、楽しみながら成長を確認するための指標として活用しましょう。正しい基礎を身につければ、いつの間にか「高すぎる」と思っていた平均点を軽々と超えている自分に気づくはずです。




