「高音になると声がかすれてしまう」「裏声が弱々しくて歌に自信が持てない」と悩んでいませんか。裏声綺麗に出す方法をマスターすれば、歌の表現力は格段にアップします。無理に張り上げることなく、透き通った伸びやかな声を出すことは、プロの歌手のような歌声に近づくための第一歩です。
裏声は、喉の仕組みを正しく理解し、適切なトレーニングを重ねることで、誰でも美しく響かせることができます。この記事では、初心者の方でも実践しやすい喉のリラックス法や腹式呼吸のコツ、芯のある裏声を作るための具体的なステップを詳しく解説します。あなたの歌声を輝かせるためのテクニックを一緒に学んでいきましょう。
裏声綺麗に出す方法の基本は喉のリラックスから

綺麗な裏声を出すための大前提として、喉周りの筋肉が完全にリラックスしていることが挙げられます。多くの人が高い声を出そうとするとき、無意識に喉を締め付けてしまいがちですが、これでは声帯の自由な振動を妨げてしまいます。
喉が開いた状態を作ることで、空気の通り道が確保され、澄んだ音が響くようになります。まずは力みを取り除き、声を出しやすい土台を整えることから始めてみましょう。
あくびの形で喉を大きく開く
喉を開く感覚を掴むのに最も効果的なのが、あくびの動作です。あくびをするとき、喉の奥にある軟口蓋(なんこうがい)と呼ばれる柔らかい部分が上がり、喉仏が自然に下がります。この「喉が縦に開いた状態」こそが、裏声を美しく響かせるための理想的な形です。
練習では、口を大きく開けるだけでなく、喉の奥にピンポン玉が入っているような広い空間をイメージしてみてください。鏡を見ながら、喉の奥がしっかり見えているか確認するのも良いでしょう。この状態で「はー」と優しく息を漏らすことで、喉に負担をかけずに裏声を出す準備が整います。
無理に力を入れて開こうとすると、逆に周辺の筋肉が緊張してしまいます。あくまで自然な「あくびの初期動作」を意識して、喉の奥に心地よい開放感を感じることが大切です。
首や肩の力を抜いて上半身を解放する
歌声は喉だけで作られるものではありません。首や肩、背中の筋肉が凝り固まっていると、それが喉の緊張へと伝染してしまいます。特に高い音を意識すると肩が上がってしまう方が多いですが、これは裏声を細く、弱くしてしまう大きな原因となります。
発声の前に、まずは両肩を一度グッと上げてから、一気に脱力してストンと落としてみましょう。首をゆっくりと左右に回し、筋肉をほぐすことも忘れないでください。上半身がリラックスすることで、呼吸が深くスムーズになり、結果として喉への余計な圧力が軽減されます。
また、顎の力みにも注意が必要です。奥歯を噛み締めず、少し口を半開きにする程度がちょうど良いリラックス状態です。全身の余分な力が抜けるほど、裏声の純度は高まっていきます。
舌の根元を下げて空気の通り道を確保する
意外と見落としがちなのが舌の状態です。裏声を出すときに舌の根元(舌根)が盛り上がってしまうと、空気の通り道が狭くなり、声がこもったり苦しそうな響きになったりします。舌はリラックスさせて、下の前歯の裏側に軽く触れている状態をキープするのが理想です。
舌に力が入っているかどうかをチェックするには、鏡の前で「あー」と発声しながら舌の形を見てみましょう。真ん中が少しくぼみ、全体が平らになっていれば喉がしっかり開いています。もし舌が丸まっていたり奥に引っ込んでいたりする場合は、指で軽く舌を押さえて形を覚え込ませる練習も有効です。
舌がリラックスすると、声の通りが劇的に良くなります。喉の奥から口先まで、太いパイプを通るように息が流れる感覚を意識してみてください。これが、クリアで綺麗な裏声を作るためのポイントです。
安定した裏声を支える腹式呼吸と呼気コントロール

綺麗な裏声を持続させるためには、安定した「息の供給」が欠かせません。声帯という楽器を鳴らす燃料は「息」であり、その燃料をいかに一定の圧力で送り続けられるかが鍵となります。
ここで重要になるのが腹式呼吸です。肩を上下させる胸式呼吸では、高い音を出そうとするときに息が不安定になりがちです。お腹の筋肉を使って呼気をコントロールする方法を身につけ、揺るぎない裏声を支えていきましょう。
深い呼吸を可能にする腹式呼吸のメカニズム
腹式呼吸とは、横隔膜を上下させることで肺に大量の空気を取り込む呼吸法です。息を吸うときにお腹が膨らみ、吐くときにゆっくりと凹んでいくのが特徴です。この方法をマスターすると、喉に力を入れることなく、必要な分だけの息を安定して供給できるようになります。
練習方法として、まずは仰向けに寝た状態で呼吸をしてみてください。人間は寝ているとき、自然と腹式呼吸になっています。その時のお腹の動きを確認し、立った状態でも同じように呼吸ができるよう意識してみましょう。吸うときは鼻から、吐くときは口から細く長く出すのがコツです。
お腹に手を当てて、膨らみと凹みを感じながら行うと感覚が掴みやすくなります。安定した土台ができることで、高音域でも声が揺れにくくなり、余裕を持って裏声を出せるようになります。
「息の支え」で一定の音量をキープする
裏声でよくある失敗が、フレーズの途中で息が切れてしまったり、声が急に小さくなったりすることです。これを防ぐには「支え」という感覚が必要です。支えとは、お腹の圧力を一定に保ちながら、息を少しずつ小出しにする技術のことを指します。
息を吐き出すときに、お腹がすぐに凹んでしまわないよう、外側に広げるような意識を持ってみてください。これにより、肺の中の空気が急激に抜けるのを防ぎ、長いフレーズでも安定した発声が可能になります。風船の口を指で少しずつ緩めながら空気を出すイメージに近いかもしれません。
支えがしっかり機能していると、裏声に密度が生まれ、細くならずに響き渡るようになります。腹筋をガチガチに固めるのではなく、柔軟に粘り強く使うことが、綺麗な裏声を持続させるための秘訣です。
お腹の横側(脇腹付近)にも空気を入れる意識を持つと、より強力な「支え」を感じることができます。前後左右に360度お腹が膨らむイメージを持ってみましょう。
呼気量を調節して息漏れを防ぐトレーニング
裏声は地声に比べて声帯の閉じが甘くなりやすいため、息を吐きすぎると「スカスカ」とした音になってしまいます。綺麗な裏声を出すには、吐く息の量を最小限に抑え、効率よく声に変換する技術が求められます。
効果的な練習法として「スー」という摩擦音を出す「ロングブレス」があります。歯の間から一定の強さで、できるだけ長く息を吐き続けてください。このとき、途中で強さが変わったり、途切れたりしないように注意します。30秒以上安定して続けられるようになると、呼気のコントロール能力が向上します。
実際の裏声でも、この「スー」という息の細さを意識してみてください。大量の息で無理やり鳴らすのではなく、少量の息を鋭く当てる感覚を掴むことで、透明感のある洗練された裏声に変化していきます。
【息のコントロール練習ステップ】
1. 鼻から4秒かけて深く息を吸い、お腹を膨らませる。
2. 4秒間、息を止めてお腹の圧力をキープする。
3. 20秒〜30秒かけて、「スー」と細く一定に息を吐き出す。
芯のある魅力的な裏声を作る「声帯の閉鎖」

綺麗な裏声と聞くと、ただ優しいだけの声を想像するかもしれませんが、本当に聴き心地の良い裏声には「芯」があります。芯のない裏声はマイクに乗りづらく、合唱のような柔らかい響きに止まってしまいます。
裏声に芯を作るために必要なのが、声帯を適切に閉じる力です。裏声の筋肉(輪状甲状筋)を使いながらも、声帯をピタッと密着させることで、ハッキリとした輪郭のある声になります。ここでは、弱々しい裏声を卒業するためのテクニックを見ていきましょう。
エッジボイスを取り入れて声帯を閉じる感覚を掴む
声帯を閉じる感覚が分からない場合におすすめなのが「エッジボイス」です。ホラー映画の呪怨のような「ア、ア、ア…」というブツブツした音のことで、声帯がリラックスした状態で閉じているときに出る音です。このエッジボイスは、喉を締めずに声帯を密着させる最高のトレーニングになります。
まず、低い音でエッジボイスを出してみてください。そのブツブツとした感触を保ったまま、少しずつ音程を上げていき、裏声の高さまで持っていきます。すると、ただ息が漏れるだけの裏声ではなく、しっかりと音が鳴っている感覚が掴めるはずです。
この感覚で発声すると、裏声でも地声のような強さを兼ね備えた「ヘッドボイス」に近い状態になります。声帯を無理に閉じるのではなく、エッジボイスの延長線上で優しく触れ合わせるイメージが大切です。
ハミングを使って響きを前に集める
口を閉じて鼻から声を出すハミングは、声帯の閉鎖と共鳴を同時に整えてくれる優れた練習法です。口を閉じているため息が逃げにくく、自然と声帯が閉じて芯のある音になりやすいのが特徴です。裏声の高さでハミングを行い、鼻の付け根あたりがビリビリと振動しているか確認してください。
ハミングが綺麗に響くようになったら、その響きを維持したまま、ゆっくりと「まー」や「ぬー」と口を開けてみましょう。息漏れが多くなったり、響きが奥に引っ込んだりしないように注意します。音が鼻筋のあたりから前方に突き抜けていく感覚があれば成功です。
ハミングで得た「芯」を実際の歌唱に活かすことで、遠くまで通る綺麗な裏声になります。毎日数分間ハミングをするだけでも、声帯のコントロール能力は着実に磨かれていきます。
| 練習内容 | 期待できる効果 |
|---|---|
| エッジボイス | 声帯を閉じる感覚を掴み、裏声に芯を作る |
| 高音ハミング | 息漏れを減らし、鼻腔での共鳴を強化する |
| スタッカート発声 | 一瞬で声帯を閉じて発音する瞬発力を養う |
「ホ」の発音で奥行きのある強い裏声へ
裏声を美しく出す際、言葉の選び方も重要です。特におすすめなのが「ホ(HO)」の発音です。「ホ」は口の形が縦に開きやすく、喉のスペースを確保したまま声帯を適度に閉じることができる発音です。クラシックのテノール歌手のような、豊かで芯のある裏声を目指すのに最適です。
「ホー」とフクロウの鳴き真似をするように発声してみてください。このとき、息を全部吐き出さず、喉の奥で音を「まとめる」ように意識するのがコツです。お腹の支えを使いながら、一本の細い光を遠くに飛ばすようなイメージで声を出すと、より芯が強調されます。
「ハ」や「ヒ」だと息が漏れすぎたり、喉が締まったりしやすいですが、「ホ」であれば初心者でもバランスの良い裏声が出しやすくなります。まずは「ホ」で感覚を掴み、徐々に他の母音へと広げていきましょう。
共鳴を意識して裏声にツヤと輝きを与える

喉や呼吸が整い、芯のある声が出せるようになったら、次は「共鳴」をマスターしましょう。声は声帯で鳴っただけでは小さな音ですが、体の中にある空間で響かせることで、初めてツヤのある美しい歌声になります。
裏声において特に重要なのは、鼻の奥や頭の方で響かせる感覚です。この共鳴を上手く利用できるようになると、余計な力を入れなくても声が大きく、そして美しく響くようになります。
鼻腔共鳴をマスターして声を明るくする
鼻腔共鳴(びくうきょうめい)とは、鼻の奥にある空洞に声を響かせるテクニックです。裏声を出す際にここを意識すると、声に明るさと鋭い輝きが加わります。逆に鼻腔が使えていないと、声がこもってしまい、暗い印象を与えてしまいます。
感覚を掴むには、鼻をつまんで「なー」と言ってみてください。指先に振動が伝われば、鼻腔に音が響いている証拠です。その振動を感じたまま、指を離しても響きが変わらないように練習します。声を斜め上、目と目の間あたりから出すようなイメージを持つと上手くいきやすくなります。
鼻腔共鳴ができるようになると、高音でも無理に叫ぶ必要がなくなります。小さな声でもしっかりと通るようになるため、バラードなどで繊細に裏声を使いこなしたいときに非常に役立ちます。
軟口蓋を引き上げて空間を広げる
口の奥にある軟口蓋を高く引き上げることも、共鳴を深めるために不可欠です。ここが下がっていると、音の出口が狭くなり、響きが死んでしまいます。あくびの時を思い出し、上あごの奥をグッと持ち上げる意識を持ってみてください。
軟口蓋を上げると、喉の奥にドーム状の空間が生まれます。声がそのドームの中で反射して増幅されるような感覚をイメージしましょう。これにより、裏声に奥行きが生まれ、クラシックやオペラのような豊かな響きが手に入ります。
練習中は、常に「上あごを高く保つ」ことを意識してください。鏡を見て、のどちんこが見えるくらい開いていれば理想的です。空間が広がるほど、裏声のツヤは増し、聴き手に心地よい余韻を残すことができます。
響きのポイントを頭の上に置くイメージ法
物理的な体の使い方だけでなく、イメージトレーニングも裏声の質を左右します。綺麗な裏声を出したいときは、自分の声がどこから出ているかを想像してみてください。口からまっすぐ前に出すのではなく、「頭のてっぺんから空に向かって放り投げる」イメージを持つのがコツです。
声を頭の上で回すような感覚、あるいは頭頂部からレーザービームが出ているようなイメージを描くと、自然と声帯が伸び、高音が楽に出せるようになります。このとき、視線を少し上げると喉の状態も整いやすくなります。逆に、下を向いたり顎を引いたりすると、響きがつぶれてしまうので注意が必要です。
イメージの力を借りることで、体は驚くほどスムーズに動いてくれます。自分の声が会場全体を包み込むように美しく響いている様子を想像しながら、伸び伸びと発声してみましょう。
地声と裏声をスムーズに繋ぐ実践テクニック

裏声単体が綺麗に出せるようになったら、実際の歌の中で活かす練習に移りましょう。最も多くの人が苦労するのは、地声から裏声に切り替わる「換声点(かんせいてん)」でのコントロールです。ここで声がひっくり返ったり、急に弱くなったりすると、歌の流れが止まってしまいます。
地声と裏声をシームレスに繋ぐことができれば、歌唱のクオリティは一気にプロレベルに近づきます。ここでは、歌唱中に裏声を使いこなすための具体的なトレーニングを紹介します。
サイレン練習で音域を自由に行き来する
「サイレン練習」は、救急車のサイレンのように、一番低い音から一番高い音までを滑らかに繋げるトレーニングです。まずは「うー」という母音で、地声の低音から裏声の高音まで、途切れることなく一気にスライドさせてみてください。このとき、段差(声のひっくり返り)をできるだけ目立たなくするのが目標です。
ポイントは、音を上げるにつれて息の量を増やしすぎないこと、そして喉の形を一定に保つことです。音が高くなるにつれて少しずつ鼻の方へ響きを移していくと、切り替えがスムーズになります。毎日1分間、このサイレン練習を行うだけで、地声と裏声の筋肉の連携がスムーズになります。
もし途中で声が消えたり、ガクッと変わったりする箇所があれば、そこがあなたの弱点です。その周辺の音域を特にゆっくりと往復して、筋肉の使い分けを体に覚え込ませていきましょう。
最初はリップロール(唇をプルプルさせる練習)で行うと、喉の余計な力が抜けて、より滑らかに音を繋げやすくなります。
リップロールで喉の緊張をリセットする
リップロールは、唇を閉じて息を吹き出し、「プルプル」と振動させながら音を出す練習法です。これは喉をリラックスさせ、地声と裏声のバランスを整えるのに非常に効果的です。リップロールをしている間は、声帯に無理な圧力がかからないため、高い音もスムーズに出しやすくなります。
まずは、裏声の音域でリップロールをキープしてみてください。一定の息で振動が続くようになったら、そのまま好きなメロディを歌ってみましょう。リップロールで歌えるようになると、喉に負担をかけない「正しい裏声の出し方」が自然と身につきます。
歌の練習中、高音で喉が締まってきたなと感じたら、一度リップロールに戻って感覚をリセットするのも良い方法です。唇の振動が止まらないよう、お腹の支えを意識しながら行うのがコツです。
裏声にビブラートをかけて表現力を高める
裏声をさらに綺麗に聴かせるための仕上げが、ビブラートです。ビブラートとは音を一定の幅で揺らす技法ですが、裏声にこれを加えることで、機械的ではない、血の通った温かい歌声になります。特にロングトーンの終わりで美しく揺れるビブラートは、聴き手の心を打つ強力な武器になります。
裏声でのビブラートは、喉をリラックスさせ、お腹の支えを一定に保つことで自然と発生しやすくなります。まずは「ホー」と長く声を出し、音程をごくわずかに上下させるイメージを持ってみてください。決して喉を振るわせるのではなく、体全体で響きをコントロールする感覚です。
最初はゆっくりとした揺れから始め、徐々に自然な速さに整えていきます。ビブラートがかかるようになると、裏声のピッチ(音程)の不安定さも目立たなくなり、より完成度の高い歌唱が可能になります。
【裏声を歌に活かす3つのコツ】
1. 切り替えの直前で少しだけ息を混ぜて、地声を柔らかくしておく。
2. 裏声になった瞬間、顎を引きすぎないように注意する。
3. 歌詞の母音を意識して、口の形を縦に保つ。
裏声綺麗に出す方法のまとめ
裏声綺麗に出す方法を身につけることは、単に高い音が出せるようになるだけでなく、歌声全体の質感や表現力を底上げすることに繋がります。この記事で解説したポイントを改めて振り返り、日々のボイトレに役立てていきましょう。
まず大切なのは、「喉と全身の脱力」です。あくびの形で喉を広く開け、首や肩の力を抜くことで、声が自由に響く空間を作ります。次に、その声を支えるための「腹式呼吸」と、息を細く長くコントロールする技術を磨くことが、安定感のある裏声への近道となります。
さらに、弱々しい裏声を卒業するために「声帯の閉鎖」を意識し、エッジボイスやハミングを通じて芯のある音を目指しましょう。そこに「鼻腔共鳴」による輝きを加え、地声とのスムーズな切り替えができるようになれば、あなたの裏声は見違えるほど美しく、魅力的なものになるはずです。
上達には個人差がありますが、焦らず自分のペースで喉の感覚を観察し続けてください。毎日少しずつでも裏声と向き合う時間を作ることで、ある日突然、理想の響きが掴める瞬間が訪れます。透明感あふれる綺麗な裏声を手に入れて、歌うことの楽しさをさらに広げていきましょう。




